ヘルニアの痛みをガードナー|ヘルニアの対策

ヘルニアとは? 

ヘルニアというと腰の椎間板を連想し易いですが、実はヘルニア(hernia)は、体内の臓器や組織が、本来の位置から飛び出すことで異常な位置に移動する疾患です。この状態は、体内の筋肉や組織が弱くなることによって起こります。 

ヘルニアには以下のような種類があります: 

鼠径(そけい)ヘルニア 

腹部や腸が鼠径部の筋肉の弱い部分を通じて外に飛び出します。特に男性に多く見られます。 

臍(さい)ヘルニア 

へその周辺で腹膜や腸が飛び出します。小児や肥満の成人に多く見られます。 

椎間板ヘルニア

脊椎の椎間板が破損して髄核が外に飛び出し、神経を圧迫します。 いずれのヘルニアも、痛みや生活の質の低下を引き起こし、場合によっては外科的な治療が必要です。 

椎間板ヘルニアとは? 

椎間板ヘルニアは、脊椎骨の間にある「椎間板」が変形し、内部のゼリー状の髄核が線維輪を突き破って外に出る疾患です。この髄核が脊髄や神経根を圧迫することで、さまざまな神経症状を引き起こします。 

椎間板の役割 

椎間板は、衝撃を吸収し、脊椎を柔軟に動かすためのクッションとして機能しています。しかし、加齢や外部からの負担により弾力性を失い、破裂することがあります。 

椎間板ヘルニアの特徴

椎間板ヘルニアは頸椎、胸椎、腰椎に発生する可能性がありますが、特に腰椎部分で発症することが最も一般的です。 

腰部椎間板ヘルニアとは?

 腰部椎間板ヘルニアは、椎間板ヘルニアの中でも腰椎部分(L4-L5、L5-S1で特に多い)で発症する疾患です。この状態は、腰椎にかかる過度な圧力や外的ストレスによって引き起こされます。 

発症のメカニズム 

腰部にかかる負担が椎間板に集中することで、線維輪が損傷し、髄核が飛び出します。これにより、坐骨神経などが圧迫され、腰から下肢にかけての神経症状が現れます。 

腰部椎間板ヘルニアの症状

  • 腰痛:腰椎の神経が圧迫されることで発生する鋭い痛み。 
  • 坐骨神経痛:お尻から太もも、ふくらはぎ、足先にかけてのしびれや痛み。 
  • 筋力低下:つま先やかかとでの歩行が困難になることがあります。 
  • 感覚障害:脚や足の一部にしびれや感覚の鈍さ。 
  • 重症例:排尿・排便障害を伴う場合は緊急手術が必要です。 

腰部椎間板ヘルニアの原因 

腰部椎間板ヘルニアは、加齢や外的要因により椎間板が劣化したり破裂することで発生します。 

  1. 加齢による椎間板の退行性変化 

椎間板の水分量が減少し、弾力が失われることで脆くなり、破れやすくなります。 

  1. 過剰な負担 

重い荷物の持ち上げや反復的な腰部の負担が椎間板にストレスを与えます。 

  1. 不適切な姿勢 

長時間の座位、前傾姿勢などが椎間板への圧力を増加させます。 

  1. 遺伝的要因 

椎間板の強度や柔軟性の弱さが遺伝することがあります。 

腰部椎間板ヘルニアの治療法 

腰部椎間板ヘルニアの治療は、患者の症状や進行度によって異なります。 

保存療法

1.薬物療法 

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や筋弛緩薬を使用して痛みや炎症を緩和します。 

2.理学療法 

腰椎や頸椎の安定性を高めるエクササイズを行います。ストレッチや筋力強化に焦点を当てることで、症状の悪化を防ぎます。 

3.神経ブロック注射 

炎症を軽減し、痛みを和らげる目的でステロイド薬を神経周辺に注射します。

手術療法

症状が保存療法で改善しない場合や、神経症状が重篤な場合に手術を検討します。 

1.椎間板摘出術 

飛び出した椎間板部分を除去し、神経圧迫を解消します。 

2.低侵襲手術 

内視鏡を用いることで、傷口が小さく回復が早い手術法です。 

3.椎体間固定術(融合術) 

不安定な脊椎を固定する手術で、症状が重度な場合に用いられます。 

新しい研究と治療法 

1. 再生医療 

  • 幹細胞や成長因子を用いた治療が進行中で、椎間板の自然修復を促進する可能性があります。 

2. バイオマテリアルの利用 

  • 椎間板の機能を補うための生体材料の研究が進んでいます。 

腰部椎間板ヘルニアとコルセットの有効性

コルセットは、腰部を安定化させて椎間板ヘルニアの痛みを軽減する目的で広く使用されています。以下に具体的なエビデンスと研究結果を示します。 

1. コルセットによる腰部安定化効果 

小林正典の研究では、形状記憶合金入りのコルセットが腰部の屈曲時における可動域を制限し、筋肉負担を軽減する効果があると報告されています。この研究では特に腰背筋群への負担軽減が観察されました。 

2. コルセットの神経症状軽減効果 

村田淳らの研究によると、コルセットの使用は脊柱起立筋や腹筋を適度にサポートし、神経圧迫による痛みを軽減する可能性が示唆されています。ただし、過度の使用による筋力低下のリスクも指摘されています。 

3. コルセット装着の術後回復促進効果 

宮城島一史らの研究では、腰椎椎間板ヘルニア術後の軟性コルセットの使用が早期の機能回復と疼痛軽減に寄与することが示されています。特に、術後の理学療法と併用することで効果が高まることが確認されました。 

4.椎間板圧迫の軽減 

アクティブコルセットの使用に関する研究では、締め付け力を調整することで腰部の負担を最小限に抑える効果が示されています。これは、圧力を適切に分散させ、椎間板への直接的な負荷を軽減するメカニズムによるものです。 

5. 理学療法との併用による効果向上 

伊藤俊一らは、コルセット装着と運動療法を併用することで疼痛の軽減とQOL(生活の質)の向上が可能であることを示しました。このアプローチは、筋力維持と痛みの軽減を両立させる点で注目されています。

ヘルニアにガードナーベルトは使えますか?

ヘルニアの場合、前傾姿勢、猫背姿勢などで悪化する場合がありますので、ガードナーベルトを使って良い姿勢を保つ習慣を身につけるという趣旨で、使っていいただいているお客様もいらっしゃいます。

​最適な治療効果を得るためには、医師と相談の上、個々の状況に適したコルセットを選択することが重要になりますのでかかりつけ医にご相談してみてはいかがでしょうか? 

お客様の声

実際ヘルニアお持ちのお客様が、ガードナーベルトをご愛用していただいているお声も届いております。ご参考にされてみてください。

参考文献

腰痛診療ガイドライン2019 改訂第二版 

小林正典. (2015). 腰部コルセット装着の腰背筋群の筋力への影響. 大同大学紀要. PDFリンク 

宮城島一史, et al. (2021). 腰椎椎間板ヘルニア術後のリハビリテーション. Journal of Spine Research. PDFリンク 

浜西千秋. (2007). 腰痛に対する運動器リハビリテーション. 日本腰痛学会雑誌. 

吉田道拓, et al. (2018). アクティブコルセットの締め付け力による影響. PDFリンク 

伊藤俊一. (2015). 腰椎椎間板ヘルニアの理学療法診療ガイドライン. 理学療法学. PDFリンク 

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※この記事は、TEAM PTRD JAPAN®所属のプロの理学療法士が執筆・監修しています。

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